恵美 秀彦の非日常気分

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月と太陽

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いつもと違う帰り道を一人で歩いて帰っている。


たまたま通りがかったのは見覚えのある街だ。


ここは昔、よく遊んだ友達が住んでいる街だ。


もしやと思い連絡をしてみると案の定近くにいた。


二人とも、明日朝早いので少しだけ近くの公園で話そうということになった。


久しぶりに会って話すので、なんだかお互い照れくさくて、くだらないバカみたいな話をしていた。

昔は、お互い若くて無鉄砲でよく朝までビリヤードやりながら色んな話をしたものだ。


毎日会っていたな、時間はたっぷりあって、収入はないのに夢だけでかくて。




あるとき、そいつと大げんかしたのだ。

けんかというか、自分たちの信念がぶつかり合っただけなのかもしれないけど。

そいつのことが大好きだったから、どうしても助けてやりたかった。

今考えたら、人を変えてあげようとか、救ってあげようと思うこと自体が、エゴだと思うけど。

その時の自分はただまっすぐに相手にぶつかっていってしまったのだ。


結局、変えることはできなかった。


お互いその話題にはふれないようになっていった。


いつもと変わらないフリをしているのだけど、どこか気を遣っている。


ビリヤードの最後の玉を落とさないで、わざと外そうとするように…






そいつは来年からヨーロッパに行くらしい。


もうしばらく会うこともないのだろう。







お互いの仕事やプライベートの話も一段落し、

そろそろ夜も深くなってきたので、じゃあねと別れようとしたとき。

「話が あるのだけど、聞く?」とそいつは言った。


あきらかに、さっきまでのトーンとは違う雰囲気だ。

何か大切なことなのだろうが、話しやすいようにあえて「聞くよ、なに?」と軽く返す。

そいつは、たっぷり間をとってから、意を決したように話しだした。





その話は、あのときのことの話だった。

もうけっしてふれることのない話題だと思っていた。

誰かがいつのまにか築き上げ忘れられた砂のお城を、月のひかりが照らし出した。


そいつは、変わっていた。自分で気づいたのだ。

もう何も言うことはない。これなら大丈夫だ。

あの日々は無駄ではなかった。

ひとつひとつの城壁は剥がれおち、王様はすでに逃げ出していた。
砂場は真っ白な聖地に戻り、全ては月のひかりに映されていく。



どう思う? 



と聞かれても、

僕はなにも言わなかった。

ただ、照れくさくて。何も言えないくらいうれしかったのだ。


最後の玉はおとされた。






帰り道一人、あまりにも月がきれいなので空をながめていた。

なんでこんなにきれいなのだろう?



月が何重にもぼやけて、太陽のようにみえるのだ。






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日記 | コメント:2 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

過ぎ行く時の中で、時が止まったままのわだかまりが今に追いついて、昇華される…良かったですね。
2009-11-28 Sat 18:59 | URL | シェレン [ 編集]
すてきで、すごく幸せなことね。
希望になりましたわ。
2009-12-27 Sun 11:23 | URL | 匿名希望 [ 編集]

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